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エキサイティングアウトドア(野生動物保護管理捕獲奮闘記)

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初物! 完結編

やっと続きを書けるようになりました。
今後ともよろしくお願いします!

さて、二人猟の続きです・・

私は目的のケロッパ(原っぱ)まで鹿に気取られ(気づかれる)ない様に行く為にこれでもかと大回りして向かいました。

一つ目の尾根を越え、二つ目の尾根を越えた処で尾根沿いに山をさらに登ります。

倒木です・・数百メートルに渡り風で木が倒れています。

あまりに酷くて鹿の足跡も一つも無くなってしまいました・・無線で状況を伴さんに送ります。

足跡のある範囲をやるか相談しましたが、結局予定どうり本音場を狙うことにしました・・

伴さんの方も足跡がありませんが、寝場所が広い為高いところに居ると踏んだのです!

決めた事とはいえ予想以上の山の荒れ方です・・これではいつもやる所は全滅だな・・と思いながら一つ一つ倒木を越えて行きます・・伴さんからは「今何処?」と再三無線で急かされます。

一時間ほどへろへろに成りながら歩くと、やっと原っぱが見えました。

伴さんに最後の無線を打ち犬を掛けて貰います。まだ持ち場には着いていませんでしたが、持ち場で無線を打つ為に喋りたくなかったのです。鹿の聴覚は半端ではありません、チョットしたことで気取られてしまいます。気づかれたら最後、二度とチャンスは無くなってしまいます。

オイラは原っぱに出る前に一息ついて立ちションです。待ち場についてどの位待つか分かりませんから出すものは出しとくべきです。オシッコしてる時に鹿が来て撃てなかった話は毎年一回は聞きます・・「だれも見てないんだからしまわずにチ○ポ出しながら撃てばいいのに・・」と皆から馬鹿にされ酒の摘みにされてしまいますからオシッコするのも真剣です。

広大な天城山系を見下ろしながらの立ちションは最高です。

その時です犬のマーカー(外部の音を拾う無線機)に犬の鳴き声がします・・・

ゲゲッ もう鳴きが入ったのか・・(犬は鹿を見つけると吼えて寝てるところを起こして追いかけます)

オイラは立ちションの真っ最中です・・・

頭に立ちションで逃がした猟友の話が頭をよぎります、オイラは下腹部に力を入れ気合でおしっこを止めチン○を出したまま全速力で原っぱに走ります。

チ○ポが左右に揺れて走りにくくガニマタで走ります・・人様に自慢できる様なモノではないのにこんなに走り難いとは・・誰かが見てたら通報モノの変態です・・

どうにか原っぱの端に出ました。反対の端まで200mありますが、ここなら自分が来た植林を通る鹿も狙えます。二人しか居ないので一人で何人分もカバーしなければ取れません。

そっとしゃがみ込み片手にライフル銃を持って、もう一方の手で下半身の銃を持ってしゃがんだまま息を殺してオシッコの続きをします・・だれも見てないのになぜか恥ずかしいです・・それより鹿が気になって、気が気ではありません。今まで生きた中でもっとも開放感の無い放尿でした・・

そうこうしていると「ズドン」と銃声でがします、間髪入れず伴さんから無線が入ります「行ったぞ~」思ったより高いところに寝ていたようです。だとすると自分で歩いてきた方の植林でなく200m先の笹っぱから原っぱに突き出る確立が濃厚になりました。

オイラは身を低くして膝撃ちの姿勢を取りました。スコープの倍率を1.5倍から5倍に上げて原っぱの反対側に神経を集中します。

時間にして5分も経たなかったと思いますが15分以上同じ姿勢で居たような感覚です。未だか未だかと全神経を集中します・・微かに笹が揺れたような気がしました。

一瞬の間をおいて鹿が飛び出します、デカイ三の又級の角です「ゲゲッ」一番高いところから一直線に真上に飛んで行きます・・こっちに来ない・・上の雑木林に逃げ込まれたらアウトです!

狙いこもうとした瞬間もう1頭飛び出します・・さらにもう1頭・・一瞬見入ってしまいました、すでに先頭は雑木林まで半分も有りません。

先頭に的を絞りいつものように肩口を狙い撃ちます「ズドーン」転がりません、しまったもっとリードを取らなければ・・さらに撃ちます「ズドーン」当たりません、もっと前か?「ズドーン ズドーン」ススキが思ったより深いらしくピョコピョコ跳ねる鹿を低倍率のスコープで狙うのは難しいです。鹿も見えたり見えなかったりで当たったかどうかも解りませんが先頭が見えなくなりました。後の鹿もしゃがみ込み身を隠します・・

急いで弾装を詰め替えますが、何処に隠れているか良く分かりません。微かに黒く見える所を撃って見ます。「ズドーン」2~3頭の鹿がバラバラに逃げます・・慌てて撃ちますがジグザグに跳ねたり隠れたりして撃ち取れませんでした・・・

ボーゼンとして何も見えない原っぱを見つめていると伴さんから無線です、「随分派手に鳴らしてたけど何頭転がったかい?」「・・・・」オイラは返す言葉がありません。

仕方なく撃った場所を探してみることにします。撃った場所が遠すぎて正確な場所が解りません・・辺りを探しても居ません・・血糊も有りません・・・外したのか・・・

伴さんも一緒に探しますが転がっていません。「こんな腕では北海道には行けないなー」と笑いながら原っぱの頂上に着きました。

ふと横を見るとさっきまで居た紀州犬のモモが居ません、「モモ 来い、来ーい」と呼びますが来ません。近くのススキの中でゴソゴソしています。

歩きつかれてクタクタですが犬を連れに身の丈ほどのススキの中に入るとモモが何かを食べています・・「お前何食ってんだ?」と声を掛けると鹿の太ももにカブリ着いてました・・

「伴さん居たよ~」「お~おめでと~」「モモがウーウー言って鹿から離れないんだけど・・」「見つけてやったんだから食わせろって言ってんだよ・・」そんな会話をしながら二人がかりでなんとか三段に枝分かれした角のオス鹿を山から引きずり出しました。

鹿の供養をして、親方に連絡を入れ帰路につきます。足はガクガクしてますが心地よい疲労感です。

大自然の中で生かされてることと生きている充実感を久々に感じました。

初物! 完結編_e0056797_2018334.jpg


活躍してくれた ブローニング BAR です。

今回は自動銃の性能も堪能できました。個人的にはボルトアクションが好きですが、自動銃も慣れれば中々面白いです。今回は初の200m実猟で経験不足から一発では倒せませんでした、ボルトアクションでは逃げられていたかもしれません。射撃場も100mまでしかなく倍の200mのリードは頭では解っていても経験を積まなければ普段の撃ち方の癖が出てしまいます、今回は良い経験をさせてもらいました。伴さん、モモ、そして山の神に感謝です。
by hidehoken | 2005-12-13 10:32